殿山共同農場の夢 ~ 未だ実現していない二つの夢

殿山共同農場は年間を生き延びて活動を続けています。これからどうするかは、今のコロナ禍において、どんな組織でも共通に抱える難問ですが、我々高齢者は過去に生み出したものに期待をかけるしかありません。我々は年前に夢を描いて活動を開始し、その後も夢を語り合いました。そんな夢の中で、“今は実現していないがひょっとしたら近々実現できるかも”というものを確認しておきましょう。

 

 1. 自治会アンケートから、共同農場誕生期に描いた夢

 これは自治会のアンケートがきっかけとなって考え出されたもので、「殿山フロンティア」と名付けられ、20145月の埼玉県シラコバト助成金申請のプレゼンで語たった夢です。 このアイデアは、①共同農場、②シニア・マーケット、③とのやま野菜券 という3つの要素から構成され、①の共同農場はほぼ今の形態で、②のシニア・マーケットは今の朝市(共同直売所)のようなものです。 ③のとのやま野菜券が未だ実現していないものです。

 こ野菜券は、自治会(および共同農場)が発行し、敬老行為の一環として超高齢者にこれを差し上げ、超高齢者はこの野菜券をもってシニア・マーケットに行き野菜と交換ができ、また、自治会の会員が子どもの見守りや高齢者の困り事についてボランティア活動を行えばそれへの報酬としても手にすることができ、野菜と交換可能です。自治会は、野菜券に見合う野菜の供給を共同農場に求め、共同農場を支援し、自治会/共同農場/シニア・マーケットの連携した仕組みにより殿山住民が消費する全野菜のかなりの部分を共同農場が供給するという体制に向かい、住民の皆さんがこれを購入するということになれば事業的に成り立つ規模にまで行くのではないか、野菜券は殿山町の地域通貨に成長するのではないか、という夢です。

 

 2.環境学習会で市民の皆さんに話した夢

 もう一つの夢は、20182月に東松山市の環境学習会で、「殿山共同農場のお話し」という標題で語られたものです。ここでは殿山共同農場のこれからの展望について語りました。展望の骨格は、「共同」と「協同」の協力連携によって将来を構築していこうというもので、「共同」とは、殿山共同農場の共同で、土に近い高齢者たちが、ゆったりとした共同の精神で、絆を大事にしながら、健全な運営を行うボランティア的なものであり、「協同」とは協同組合の協同で、志と価値観を共有する若手層が、協同労働で働き、健全な事業として運営する「協同労働の協同組合」です。

 

  二つの夢を結合してやってみたら・・・

 2018年当時、「協同労働の協同組合」は法制化の作業が進行中でありましたが、202012月に「労働者協同組合」という名称で、全党全会派一致の下で法制化が成立致しました。現在全国各地でこの新しい法人、この新しい「協同労働」という働き方に注目が集まり、既に各種の試みが始まっています。世界各地からも協同組合の新しい形・理念であり、今後の人類社会の在り様に重大な関与をするだろうと受け取られています。

 「共同」を殿山共同農場の超高齢に近い会員が担い、「協同」をより若い層が「労働者協同組合」の法人に基づいて事業運営し、自治会がしっかり支える構成を実現し、「とのやま野菜券」が地域通貨として役立つとするならば、まさに「高齢者の支え合いと農のある街づくり」および「農と福祉と環境を連携した取り組み」が可能になるのではないでしょうか?