1.高齢者の支え合いと農のある街づくり

 

Ø もうすぐ土に還る高齢者

    地域の土を耕し、地域の自然と社会になじみ、より人間らしい

    最後の日を迎えようとするのが、「殿山共同農場きずな」の

    思いです。

 

Ø 農と福祉を繋げることによって、

    高齢者が自ら元気を維持し、高齢者同士が支え合い、できれば

    子どもたち、若い世代とも交流を深め、きずなを強めて、街が生

    生きと存続することを願います。

 

Ø 6070代の元気高齢者を中核とし、

    80歳以上の超高齢者から子どもたちまでの、この町の多世代

    つなぐことを念頭に置いて、共同で農作業を行う共同農場を

    舞台とし、そこで採れる野菜とその加工物を媒介としながら

    「農と福祉」を繋げる事業を展開します。

 

 

 

 

2.殿山共同農場での活動

 Ⅰ.野菜などの栽培

  殿山共同農場では野菜作り中心ですが、そのほかにも色々な活動を行っています。

  

  1.野菜作り・・・栽培する野菜の種類は約30種で、果菜類・葉菜類・根菜類をそれぞれ10種程度を栽培しています。

  

  2.蜜蜂園 ・・・西洋ミツバチの養蜂を行っています。(今年はお休み中です)

 

  3.果樹園 ・・・各種果樹の育成をしています。

 

  4.花園  ・・・自治会の花いっぱい運動と連携の方向で始めました。

 

  5.原木椎茸・・・原木での椎茸の栽培を行っています。

 

Ⅱ.野菜セットの配布・・・殿山流CSAの試み

 サポーター会員は発足時にご支援いただいた賛助会員の名前を変えたもので、生産に関わる義務はありません。年度の始めに年会費3,000円を

 納入していただきます。これに対応して年5回ほど共同農場の新鮮な無農薬有機野菜を供給します。共同農場の野菜の供給先を年度始めに確定

 してくれる、いわば信頼できる消費者としての会員です。

 これまで野菜の供給が安定しなかったことなどを反省し、2017年からしっかりとこの制度を実施していきたいと考え、サポーター会員を拡大

 し、殿山ならではの農による街づくりモデル事業「殿山流CSA」(※) を目指してスタートしました。

 

  殿山には農地がありません。私どもも専業の農家ではありませんので、農業ではなく単なる農かもしれません。毎週1回の野菜セットも無理です。

  金額も一桁以上違います。とはいえこのCSAというやり方は、生産者と消費者を結び付け、その地域の絆を深めるものとして、私たちはこれを

  高く評価し、その真髄を実践していきたいと考えます。日本の有機農業はCSAの発達するアメリカやヨーロッパに比べても大きく立ち遅れています

  殿山流CSAはこの面からも実績を挙げたいものです。「殿山の皆さんがみんなで支える農」として殿山流CSAを発展させていこう、という新たな挑

  戦であります。

 

 

サポーター会員との約束事

 

    年会費         3,000

     提供する野菜セット    500円相当の野菜セットを6程度提供いたします

     提供方法         :提供コーナーにて受け取り、またはお宅にお届けします

                * 昨年からサポーター会員の野菜セット・チームがスタートしました。

                 このチームは農場に来て野菜を収穫し、野菜セットを作り、サポーター会員に配布します。              

 

 ※ CSA  = Community  Supported  Agriculture : 地域に支えられる農業

  地域で生産される新鮮な無農薬有機野菜について、作付前に前払いの形で契約するやり方は、「地域のコミュニティが支援する農業:CSAして注目されています。

   元々は、日本の生活協同組合の産直提携という考え方が、ヨーロッパに、そしてアメリカ ・カナダに広がったものと言われています。

   それは、地域の生産者と消費者がその地域の健全な農業と環境と食生活を守るために、自発的に作り上げ維持するシステムです。

   その特徴は次の通りです。

  ◎ CSAの仕組み:

      消費者は作付の前に契約金額を支払い、毎週1回、生産者から旬の新鮮な有機農産物を受け取ることができます。天候等による不作などのリスクは、生産者と消費者が

     分担します。多くのCSAでは、消費者が農作業や配布の作業を分担することもあります。そうして収穫の恵みを分かち合います。

  ◎ 生産者にとってのメリット:

     作付前に消費者が決まり契約金が入るので計画的に農作業ができます。収穫したものを全てシェアするので、収穫物が無駄に捨てられるようなことは起こりません。直接

     消費者の声を聞くことができます。

  ◎ 消費者にとってのメリット:

     生産者と直接話ができます。圃場を訪れて、生産現場を見ること、作業に参加することもできます。新鮮で安全な野菜が手に入ります。子どもたちにも農場に来てもらい、

     野菜がどのように育つか知ってもらえるし、それを通して食べず嫌いの野菜でも食べるようになる、さらにアライグマや小鳥たち、蜂たちにも会えて地域の自然を感じても

     らうことができるなど、本当の意味での食育ができます。

 

 Ⅲ.野菜の供給

 1.共同直売所(朝市)

    殿山町で年に10回を目標に朝市を開催しています。販売する商品は共同農場で収穫された野菜、岩殿たんぼなど近隣で採れた米・果物

    およびそれらを原料に会員たちが共同で作った加工品(乾燥野菜・ジャム・お菓子など)です。

    ところが、2020年から感染拡大した新型コロナウィルスの影響で3密を避けた運営をせざるを得ないこととなりました。いわば「新型

    朝市」としてお客さんとスタッフの距離の確保と透明シールドの設置、マスクと手洗いの徹底を実行しました。それでも通常の開催回数

    はできませんでしたので、代わりにいつものお客さんのお宅を訪問して注文をいただく「注文販売」の方式も採用しています。

 2.出張販売

    町内の流通の他に町外への出張販売も行います。2016年から東京都荒川区への出張販売を行っています。東尾久一丁目町内会の餅つき

    大会に合わせて野菜などの販売を行っています。同町内会との連携が深まってきています。東京の下町という外の世界で野菜の販売をす

    ることによって、高齢者の生活の様子、町民相互のつながりの様子を知ることができ、大変良い勉強になっています。ところが、ここで

    も新型コロナが影響してきました。人流を抑えよ、対面販売を避けよということで2020年から中断しています。

    今年は出張販売の復活に取り組みます。

 

 Ⅳ.困りごとサポート

 殿山町の居住者は、ほかの街と同様に高齢の方が多くなってきており、日常の生活の中でちょっとした困りごとが発生してなかなか解決できな

 くて困っているケースが見受けられます。そこで、「困りごとサポート」として解決へのサポートを行っています。

  <困りごとサポートの例>

  ・家の2階のトイレの換気扇からコウモリが侵入する! ⇒ 換気口に網を張りました

  ・台所の蛇口の水漏れが止まらない! ⇒ 水漏れ防止策で解決しました

  ・庭のカエデが茂りすぎた! ⇒ 庭木の伐採をしました

 * 昨年から「困り事相談窓口」を設置したり、「自治会との協力連携」を行なったりして、殿山らしい方式を模索しています。

 

Ⅴ.ネットワークづくり

 1.岩殿満喫クラブと協力・連携

    農と環境を繋いで活動している岩殿満喫クラブ(高坂)とは発足時から協力・連携を続けています。初春の田んぼの整備、田植え、草取

    り、そして稲刈りに至るまで年間10回ほど、延べ60人ほどが共同作業をしています。岩殿の会の方々も殿山でのイベントに参加してく

    れて相互扶助の関係が深まっています。

 2.市の行事への参加

    市の助成金で支援をいただいたことをきっかけに市の行事に参加するよう努力しています。2015年には「環境みらいフェア」に参加し

    ました。2018年には環境学習会において「殿山共同農場のお話し」という標題でこれまでの活動と今後の展望について講演しました。

 3.きずな基礎講座

    「無農薬有機農法で野菜を作り、高齢者の支え合いで農のある街づくりをする」という旗印を実現するためには様々な事を学び実行しな

    いとなりません。そこで、「きずな基礎講座」と銘打って農業・健康・街づくりなどの多様なテーマで学習会を開催しています。